makito's voice

2010年03月16日
小出シンバルカスタムオーダーイベント at 豊橋シライミュージック

  • 国内のシンバルメーカーである小出シンバル。ここ数年でかなり認知度も上がり、なにより世に送り出す製品としてのレベルも世界大手のメーカーと比べても遜色無く、海外からも注目される存在になってきています。私は数年前からコマキドラムシティの西尾君からいろいろ聞いたり叩かせてもらったりしていましたが、シンバルのクオリティがみるみる上がっていくのをリアルタイムで体験しながらこりゃ凄いと思っていました。その後ドラムマガジンのレビューなども書かせていただいたりするにつれ、実際シンバルそのものよりも小出さんという方はどういう方なのかと思うようになりました。そんな中、渡りに船、豊橋シライ・ミュージックのトシちゃんが小出さんをお呼びしてカスタムオーダーイベントをやるという!しかも自分にとって比較的時間の取りやすい3月!そしてわが誕生月である弥生!こりゃー誕生日にかこつけてシンバルを...グヒヒヒ...。
  • イベントの詳細が決まるにつれ、デモ演奏にTubeや夏川りみさんのサポートをされているパーカッションの玉木正昭さんが参戦されることが決まり、その絡みでこのところ仕事の関係でお世話になっていたコマキ通商のMZ氏、SH氏という面々と共に豊橋入り。私はそこで始めて小出社長、そして玉木さんとお会いして、初対面5分と経たぬ間に裏Kがどうした、602がどうしたという会話から始まって、26時過ぎまで歯に衣を着せぬシンバル談義。いやぁ素晴らしかった。ああいう場所ですぐ好き勝手言っちゃう私ですが、玉木さんは嫌な顔をすることもなく意見交換させていただきました。小出社長にはドラムシティの◯尾君に似てるタイプだね〜なんて言われましたが(笑)

    豊橋シライミュージック!

    相変わらず濃い店内。

    3階のホールで仕込み。

    工場から届いた面白そうなものが陳列...

  • さて、シンバルと言うのはとても美しい楽器だがなかなかに難しい。「売っているものの中から選ぶしか無い」と感じてしまう時がある。まぁね、どんな楽器でもある意味同じなのですよ。そりゃ売ってるものから選ぶしかない。しかし、シンバルはチューニングでピッチを変えたりサスティンを長くするなんて事実上できないし、なにか気に入ったライドが手に入ったとしても、それが自分のクラッシュやハイハットと組み合わさって良いバランスになるかといえば、なかなか得難い部分がある。同じ型番でも、良いサウンドのヤツはメーカーのエンドーサー、楽器店の兄ちゃん達に先取りされ、店頭には余り物しか並んでいないんじゃないかというセコイ疑念(注:そんなことはありません)が湧いてきたらもう立派なシンバル中毒。そしてさらに「実際シンバルってどんな風に作られてるのさ」ってのが国内にいるとちっともわからない。材料や製法についてあれこれキーワードを並べてみたところで、結局良い音がするなり自分が気に入らなければ意味がない。今回小出社長にあれこれと質問を直撃させていただいた結果、シンバルに関する迷信や都市伝説、思い込みがだいぶ整理され、またさらにシンバルに対してまっすぐ見ることができるようになった気がする。
  • 小出社長はテレビなどでも紹介されていますが、まず本業の金属加工というものがあり、従業員の方の一言からシンバル造りを始められたそうです。会って話してみると、ストレートかつ科学的論理的な話っぷり。そして音楽については自分はわからないと言い、使い方はミュージシャンに任るという、安易なシンバル論を振り回さない方でした。そして製作上のプロセスを聴けば聴くほどに、なるほどど頷けることが多くありました。これについては、まだ自分のアタマの中で咀嚼し続けている部分もあり、言葉にできないこともたくさんあるほど。
  • さてイベント当日。素晴らしい天気!小出社長の話から始まって、ゲストの玉木さんも登場し演奏を交えながらのトーク。シンバルの材料や加工について、玉木さんによる現場での話、などなど。そしてお客さんからのQ&Aも含め、あっという間に2時間。その後試奏&オーダー相談となり、合計4時間のタイムスケジュールは矢のように過ぎていきました。ここはですね、声を大にして言いたい。このようなイベントが行われたことは稀有なことであり、小出というメーカーが存在することが、そして豊橋というこの場所でこんなマニアックなイベントが行われると言うことが、これからの日本のドラマーにどれだけのチャンスを与えて行くのか、それはとても大きなことです。ただ、シンバルを作るメーカーがひとつ増えた、マニアックな店が地方にあると言うことではなく、「ドラマーが楽器を知り楽器と対話する環境」にひとつ違う層ができたとすら思います。これ、東京でもやりたいですね。まぁあまりにマニアック過ぎて、しかも濃い人ばかり集まると、合宿レベルでやらないと時間足りないかも(笑)。やり方はいろいろ考えないといけないし、なかなか商売的に成り立つものにはなりにくい。教育の中で取り上げるとか、そういうほうが正道なのかもしれない、シンバル工場見学とか体験とか...。うーん。

    豊橋駅前。良い天気です。

    Koide Day!!!シライミュージックは南栄町つうところにあります。

    小出社長によるシンバルセミナー。

    ゲストの玉木正昭さん登場!

    カホンやコンガ、ドラムセットを叩きながら解説。

    にこやかにわかりやすくモデルによる音の違いを演奏&解説されていました

    お客さん達の真剣かつマニアックなこと!

  • 小出社長の話の中で興味をもったのは、まずは作れるものから作ってきたという話。そして今は薄手のシンバルに向かっているとも。イベントではシンバルの原盤から加工順の状態、そしてプロトタイプなど紹介されていました。あの原盤が製品としてのシンバルになるまでの過程について、小出さんはありとあらゆる方法論と道筋を通った上でここまで来ている方です。その探究心と体力には脱帽するばかりです。作為的でない純粋な響き。小出シンバルはこれからさらに道を進まれることでしょう。これから、その結果生まれてきた楽器に触れることができる、このことの素晴らしさ。いや、おべんちゃらでなくて、本当にそういう可能性を強く感じます。

    トルコから送られてきた原盤。このグニャグニャがシンバルに...

    美味しそうでしょ!

    美味しいよ!寄っといで〜食べといで〜!

    セミナー後の試奏状態。これ真剣にやったら時間いくらあっても足りるわけないっつう感じ!

  • で、おまえはなにかオーダーしたのかって?フフフ。近々大阪行きます。あ、大阪行ったらマツシンさんとこ行ってストローク教えてもらわなくては(笑)!!!